第276回 将来の環境が不確実な下での生物の成長と繁殖戦略!

大泉嶺 (北海道大学環境科学院)

生物体が繁殖を行うにはいかなる形の獲得方法であれ、種ごとに対応した資源量が必要となる。被子植物では花芽形成や種子に、哺乳類では子宮や胎盤に注がれる栄養量が必要となる。単細胞動物や原核生物も分裂に必要な量の同化産物がなくてはならない。これら繁殖に必要な資源の獲得手段にはそれに伴う確率的な変動リスクがあると考えられる。光合成は天候に左右され、草食動物は肉食動物に比べ餌の獲得リスクはないと考えられるがその栄養価の低さから食べ続けなければならない。肉食動物は逆に餌となる生物の発見、捕食に伴うリスクが大きい代わりに栄養価の高さがそれを補っているように見てとれる。これら獲得資源に伴うリスクの大きさは食物連鎖の上位の生物ほど大きく見える。しかし、下位の個体はリスクがないとしても上位個体による捕食という生存率を低下させる要因があるので上位の肉食動物よりそれを防ぐコストを支払う必要がある。そのため上位の肉食動物より最適な生活史戦略を採っているとはいえないのが一般的である。
これら資源獲得に伴う生活史戦略の違いは稔性と生存率によって定義された適応度の概念を用いることで、環境に応じた最適戦略がどのように決定されていくか見る事ができるはずである。
そこで本研究では餌の獲得リスクと生存コストを確率微分方程式によって定式化し稔性と生存率に対する資源の分配を最適化する成長戦略がどのように決定されるかを明らかにする。

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