2017年開催目録

開催日 演 題 発表者 所 属

暖地育ちの私が、北海道へ転勤してきて出会った、感動した、野鳥たちの姿。北海道ならではの鳥類相にとまどいながらも、自分の足で全道各地に駆けつけ観察、撮影してきた種を暖地との違い、季節や環境に着目して写真や動画を用いて発表します。いちバードウォッチャーの目から見た、北海道の野鳥の魅力を再発見してみます。

湿原や草原は急激に減少し、多くの湿原性あるいは草原性の鳥類が絶滅の危機に瀕しています。このような鳥類は、農地景観に僅かに残存する湿原や草原に生息しています。同時に、農地や牧草地、そして耕作放棄地もまた、重要な生息地であることが知られています。様々な土地利用からなる農地景観で鳥類を保全するためには、各土地利用が生息地としてどの程度機能するかについて把握する必要があります。本研究では、種数、個体数、繁殖成績、初渡来日、餌資源量の5つの観点から、湿原、耕作放棄地、牧草地、畑の、生息地としての価値を評価しました。土地利用ごとに、どのように鳥類を保全すべきか一緒に考えてみませんか。

数年前から道東などで「野鳥観光」という言葉をよく耳にするようになりました。今では、その動きは道北や道南など道内各地に及び、野鳥関係者だけでなく、観光業界や一般観光客も注目するものとなってきました。自然雑誌fauraでは2016冬号(2016年12月発行)で「野鳥観光」を特集し、改めて道内各地で進む「野鳥を観光資源として考える」取り組みを整理してご紹介しました。その内容に沿って、野鳥観光の実態と課題、そして野鳥関係者の役割など、取材から見えて来た興味深い話題をお話しします。

日本全国の蔵で造られているお酒、意外と鳥の名前の銘柄が多いとは思いませんか? 一体どれ程あるかを調べてみましたら、予想以上に全国各地で造られていて、とりわけ「鶴」の多さが際だっていました。一体それは、鶴と日本人の係わりの歴史の何を現したものなのでしょうか。美味しいお酒を酌み交わしながら語り合いましょう。

私たちの身のまわりには多くの病気がありますが、鳥たちも多種多様な感染症のリスクにさらされて生活しています。今回は鳥類で一般的にみられる鳥マラリア感染症と線虫感染症に焦点をあてます。どんなときに感染症が重症化するのでしょうか?どのような環境で感染症が蔓延しやすくなるのでしょうか?病院に通えない野生動物と感染症との関係性を紹介します。

皆さん、初めて行く地域にバードウォッチングしに行く時、どのように情報収集していますか。例えば本、インターネット、口コミなど...。今回は、地元民ならではの探鳥地を紹介し、そこに棲む野鳥たちについてもお話し致します。

かつて絶滅の危機にあったタンチョウ。しかし多くの人々の保護活動によって現在約1,800羽まで数が回復しました。今回は、日本野鳥の会が行うタンチョウの保護活動の取り組みについてお話し致します。

生きものにとって食べることは重要です。人間と同じように、タンチョウも様々なものを食べて生きています。では彼らは実際に何を食べているのでしょうか。好みやこだわりはあるのでしょうか。食べ物を通して、彼らの生活についてお話しします。

本道での約30年の鳥獣被害データの記録から、被害の実態や傾向、および鳥獣被害の歴史と被害対策などについて説明します。また、おまけとして市街地付近におけるウミネコの営巣状況についても簡単な報告ができればと思っています。

希少生物の保全には、生態的特性のみならず、遺伝的観点からの保全が重要です。保全を考える場合、しばしばアプリオリに「種」を単位としていたり、「局所個体群」を単位としていたりします。演者は、今年まで絶滅危惧種に指定されていたオオタカや小笠原固有の絶滅危惧種オガサワラグワなどの遺伝解析を行ってきており、この度は難しいとよく言われる遺伝子の解析をできるだけ簡単に紹介したいと思います。

特徴的な鳴き声(焼酎一杯ぐいーっ)で大抵の方がよく知っているセンダイムシクイ。不思議なことにその生活について研究された例はまったくと言っていいほどありません。数年前から彼らの生活を少しずつのぞき見していますが、小さな体でなかなか苦労している姿が垣間見えてきています。まだわからないことだらけですが、その一端をご紹介します。

アオサギは天然記念物でもなければ絶滅危惧種でもありません。いわゆる普通種と呼ばれる鳥で、これまで殆ど主役になったことはありませんでした。裏を返せば適応力があり人間と絶妙な距離感を保っているとも言えます。その魅力の一端を紹介できればとおもいます。

シマフクロウはかつて道内に広く分布していましたが、現在では道東を中心とした限られた地域に生息しています。北海道のシマフクロウ個体群の変遷について調べるために、近年の保護事業で得られたサンプルや古い剥製標本のサンプルを用いて DNA 分析を行いました。その結果、個体数の減少と個体群の分断化が、特に 1980 年代以降に進行したことが明らかとなり、個体群の分断化にともない遺伝的多様性の低下や高頻度の近親交配のあることが確認されました。できるだけ分かりやすく説明いたします。

野鳥観察の必需品である野鳥図鑑について、私が所有しているものを中心に紹介します。Web 図鑑などの情報元もある現在、あえて紙媒体の情報元にこだわり、日本の野鳥図鑑の歴史、図鑑の活用方法、個人的にお勧めの図鑑などについても紹介していきます。